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八日目の蝉

王様のブランチで昨年のNO.1ミステリーとして紹介された八日目の蝉
早速楽天ブックスで購入したところ帯には「最後の数ページ、震えがとまらなかった」「太田光氏も大絶賛!」という宣伝文句がおどっていた。(夫は「太田光氏絶賛というのは宣伝文句になるうるのか?」と不思議顔だったけど。。)

主人公は不倫の末すてられた一人の女性。その女性が不倫相手の子供をさらい、逃走しながら自分の子供として育てる。
物語の前半はその女性と子供の逃亡生活をつづり、後半は成長したその子供の苦悩をつづっている。
壊された家族、再生できない家族、親子の絆、そんなテーマを感じながら物語は流れるように粛々と進んでいくのだ。

誘拐という犯罪をおかした女性はゆるされるべきではないのに、私はいつの間にかこの女性を応援していた。さらってきた子供を自分の子供だと半ば無理矢理錯覚しながら、狂おしいほどの愛情をいだく女性。いつしかそれは確とした母性愛へとかわってゆく。
子供を幸せにしたいと願いながらも逃亡しつづけなければならい焦り、絶望。子供を持つ身としては胸がおしつぶされるような気持ちになる。
そしてもしかしたらうまく逃げおおせて子供と永遠に一緒にいられるかもしれないというわずかな希望にしがみついて必死で生きる女性を読者はもう犯罪者としては見られなくなるのだ。

しかし後半部においてストリーはずんと重く沈み込む。
悲しいながらも愛情に満ちた情景は姿を消し、誘拐された少女は全く別人のような顔をして登場する。
このがらりと変わる舞台には少し驚かされる。
が、エンディングに向って現在と過去が少しずつ整理され、統合され、きちんとつながる一つの流れとなるのだ。
暗い後半のストーリーも希望を残して幕となる。

正直、「面白い?」と聞かれたら「うーん、複雑」としか答えられない。ミステリーでもサスペンスでもドキュメンタリーでもない、なんだか不思議な話なのだ。
途中で明かされるタイトル「八日目の蝉」の意味もストンと入ってこなかった。
しかし一文一文がブツブツと短くきれていてとても淡々としているのにどこか優しさを感じる文体には不思議な魅力がある。読後しばらくやりきれないね、といった余韻が残るのも印象的だった。

好みは分かれるところかな。私は絶賛はしないけれど結構泣いたよ。

Posted by jizou at 2008年1月18日 13:10 | Comments (2) | TrackBack(0) | 節約ランキング | このエントリーを含むはてなブックマーク


コメント (2)

うしこ:

ジゾウさんの感想を読んで、さっそく図書館で借りて(予約待ちして)一気に読みました!前に子供がいなかったら絶対に泣いてました…逮捕の瞬間に希和子が叫んだ一言を読んで心臓を摑まれたような気持ちになりました。読後の切ない余韻が未だに残っています。個人的には、登場人物のその後が気になり、続編希望したいですね~。

ジゾウ:

---☆うしこさん---

こんにちは!

>ジゾウさんの感想を読んで、さっそく図書館で借りて(予約待ちして)一気に読みました!

そんなコメントを頂くと本当にとっても嬉しくなります。ありがとうございます!
私はうしこさんのコメントを読んでまた話を思い出して涙が出そうになりました。
(私、超涙もろいんです。。)

子供がいる人にはたまらない話ですよね。
ホント、あの切ない余韻は作者の筆力なんでしょうね。
スゴイです。

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